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誤解してるかも?シリーズ(シリーズ糖尿病60)2022年9月23日(金)行徳新聞
<誤解その1>熟睡したいので寝酒は欠かせません。
夜お酒を飲むと眠くなりますが、時間が経つと眠りが浅くなり中途覚醒、早朝覚醒が増えます。
アルコールの入眠作用は3時間程で切れて、その後は代謝されてできるアセトアルデヒドの覚醒作用によって深い眠りは減って浅い眠りが増えるのです。
よって、アルコールは睡眠の質も量も低下させます。
またアルコールには利尿作用あり、筋弛緩作用でイビキ・睡眠時無呼吸のリスク、アルコール中毒になるリスクもあります。
寝酒をやめてみたら深く眠れるようになって寝起きもスッキリ、さらに考えも前向きもなったと言う方もいらっしゃいます。
<誤解その2>油物やトンカツは血糖が上がるので控えています。
確かに、油は1gあたり9kcal、三大栄養素のうち最もカロリーが多く太りやすいです。
でも、短期的に考えると油はすぐには血糖値を上げません。
食後最も早く血糖が上がるのは炭水化物(糖質)で1〜2時間がピーク、次が蛋白質で4〜6時間頃、油(油脂)が8〜10時間の順で上がります。
食後すぐの血糖上昇で言うなら油はたいしたことありません。
トンカツ食べるよりおにぎり一個の方がはるかに血糖は上がるでしょう。
ちなみに食後血糖が上がればインスリンが素早く出て血糖を下げますが、その結果太ります。
インスリンは体を太らすホルモンなのです。
糖質制限をすると当初、顕著に減量出来る理由はそこにあります。
2022.12.15
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体重を減らす糖尿病の薬 〜SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬〜(シリーズ糖尿病59)2022年7月22日(金)行徳新聞
理想の糖尿病治療薬とは何でしょうか?血糖を下げることはもちろんですが、低血糖を起こさない、体重は増やさない、できれば減らすものがあればベストです。従来体重を減らす糖尿病治療薬は殆ど無かったのですが、近年SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が使えるようになり、これらは減量効果が期待できます。
SGLT2阻害薬は尿糖を常時出すことにより血糖を下げ体重も減らします。尿量も増えるので開始時には脱水に注意が必要ですが、この使用によりコントロールが改善した方も多くおられます。
GLP-1受容体作動薬は消化管ホルモン(インクレチン)であるGLP-1と同じ作用を持つ薬、元々は注射しかなかったのですが、最近内服薬も出て来ました。インスリン、グルカゴン分泌をうまく調節する事で低血糖を起こさず血糖を下げますが、消化管や脳へ作用による食欲抑制も期待できます。内服楽の方は、毎朝起床時に少量の水で内服した後30分間は他の飲食、内服ができない制限があります。これを守らないと吸収が減り効果が落ちてしまいます。また、同じ薬で週一回だけの注射薬もありますので、こちらの方が使いやすい方もいるかもしれません。
これらはまた、心臓や腎臓に問題がある2型糖尿病患者さんに対しても、有効な治療薬として欧米の治療ガイドラインでも推奨されている薬になります。
2022.11.01
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食事の色彩と栄養価(栄養バランス)
本日の昼食
タコライス (行徳デリキッチン)
色合いが多彩な方が、栄養価も多彩になりバランスが良くなる傾向はあります。
2022.07.11
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みそと糖尿病 〜ポイントは塩分の摂取量〜(シリーズ糖尿病58)2022年5月27日(金)行徳新聞
味噌は大豆や米、麦などに麹を加えて発酵させることで作られる日本伝統の発酵食品の一つで、大豆蛋白、イソフラボンはじめ種々の栄養素を含み、発酵されることでより吸収されやすくなっています。肥満者の腸内環境は悪玉菌が多く善玉菌が少ないと言われますが、味噌を含む発酵食品に含まれるピログルタミルロイシンはこの悪い腸内環境を改善するようです。
また、大豆摂取が多いと糖尿病発症が抑制されたとか、味噌汁を週一回飲むより毎日一杯飲んだ方が糖尿病の発症、悪化に関わるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなること)の指標が改善したとか、味噌汁を飲んでいる女性は、そうでない女性と比べ肥満が少なく血糖コントロールが良かったという報告もあります。よって、毎日一杯程度の味噌汁は糖尿病や健康寿命の改善に寄与するかもしれません。
ただ問題となるのは味噌に含まれる塩分の量です。味噌汁一杯に含まれる塩分量は約1g、日本人の一日平均塩分摂取量は10gとまだまだ多く、高血圧の方では一日6g以下が勧められています。
減塩味噌を使ったりして一日全体の塩分摂取量を増やさずに味噌汁を取り入れられるかは主治医、管理栄養士とよくご相談ください。
2022.07.05
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コーヒーと糖尿病 〜何事もほどほどにしましょう〜(シリーズ糖尿病57)2022年3月25日(金)行徳新聞
2002年のオランダの研究および我が国の研究の結果、コーヒーを多く飲む人では空腹時血糖値の高い人が少なく、2型糖尿病の発症が少なかったことが報告されており、コーヒー摂取により糖尿病発症が抑えられる可能性が示唆されています。同様に、緑茶の摂取量も増えるほど糖尿病の発症リスクが低下するようです。
コーヒー、緑茶に含まれるカフェインは脂肪の燃焼を促進するなど代謝を活性化しますし、また緑茶に含まれるエピガロカテキンガレートやコーヒーに含まれるクロロゲン酸には抗酸化作用があるので血管の炎症やダメージを抑える可能性もあります。欧米の研究では、コーヒーを1日3杯以上飲んでいる人では脳卒中や心臓血管病発症が抑えられたという報告もあります。
ただし、すでに糖尿病や心臓病がある人にとっては、カフェインは短期的にはインスリンの働きを抑え血糖値を上昇させますし(砂糖を入れればさらに良くない)、心筋梗塞を誘発する可能性もありますので、摂りすぎは良くないでしょう。1日3杯以下にすべきです。またカフェインを摂りすぎることで起きるリスクとしては、膀胱がん発症のリスクや、妊婦での流産や胎児の発育が悪くなるリスクなどもあります。
2022.07.05
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脂肪肝は心配ないのでしょうか? 〜FIB-4 インデックスとは?〜(シリーズ糖尿病56)2022年1月21日(金)行徳新聞
脂肪肝とは肝臓内の細胞に中性脂肪が30%以上たまった病態のことで、これまでは良性と考えられて来ましたが、中には肝硬変、肝臓がんに進行する悪性の脂肪肝(NASH)があることが分かってきました。お酒をあまり飲まないにもかかわらず肝臓に脂肪が貯まって炎症や線維化を起こすタイプ(非アルコール性脂肪性肝炎=NASH)は、後に肝硬変、肝臓がんに進行する危険があります。このタイプは肥満、糖尿病やメタボリックシンドロームを伴っていることが多く、食べすぎ、運動不足などが原因になります。
肝炎の結果線維化が起きなければ問題ないのですが、線維化が繰り返し起これば肝硬変へと進行し、さらに肝臓がんを合併しやすくなります。線維化が起きているかどうか調べるには厳密には肝生検が必要ですが、入院が必要となり容易には出来ません。そこで、それを推測する簡便な方法の一つとして、
FIB-4 インデックス=(年齢×AST)/(血小板数×√ALT)
があります。いつもの検査数値(肝機能検査のAST、ALTと血小板数、年齢)を入力するだけで求められます。
この値が1.30以上なら肝臓の線維化が起こっている可能性が、また2.67以上ならNASHの可能性があり、肝臓専門医のもとでさらなる検査を受けられることをお勧めします。
2022.07.05
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2021 Autumn Dr’s Eyeに記事が掲載されました。
2022.06.20
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本が出ました。
専門医が薦める健康法シリーズ第8弾『確実に血糖値を下げる食べ方と生活』が辰巳出版より絶賛発売中!! 専門医として医学博士の渡邉賢治氏が監修!
2022.03.09
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