尿糖のお話 ~SGLT2って何?~ (シリーズ「糖尿病」⑤)2014年3月28日(金)
「糖尿病」は文字通り「尿に糖が出る」病気です。一般に血糖約170mg/dl以上(尿糖排泄閾値と言います)で尿に糖が出るようになります。正常の方では、腎臓で尿を作る際、糖が一度は尿中に出るものの、腎臓の近位尿細管にあるSGLT2(尿糖を血液中に戻す関門のようなもの)の働きにより殆どが血中に再吸収されるので尿糖は出ません。しかし、血糖が170mg/dlを超えると、SGLT2の働きの限界を超えるので尿糖が出てきます。尿糖を出すということは少しでも血糖を下げるための身体の反応とも考えられますが、尿糖の量が増えれば、それだけ身体のエネルギー源を失うことにもなります。即ちやせて健康状態も悪くなります。
尿糖排泄を増やすことにより血糖を下げる薬、「SGLT2阻害薬」が今年から使用可能になります。若い方や元気があり太られた方には有効な治療と思われます。反面、体力の落ちた方やお年寄りではさらに痩せて抵抗力が低下する可能性もあります。脱水(電解質異常)や尿路感染症にも注意が必要です。新薬でもあり、使用にあたっては慎重な観察が必要であると考えています。