シリーズ糖尿病

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    世界糖尿病デー (World Diabetes Day) (シリーズ糖尿病55)2021年11月26日(金)行徳新聞

    11月14日は世界糖尿病デーでした。これは世界に広がる糖尿病の脅威に対応するため制定されたものであり国連にも認定されました。11月14日は、世界で初めてインスリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日に因んで制定されました。世界糖尿病デーは多くの国々、人々が参加する糖尿病啓発の日になっており、この日に合わせて様々な糖尿病啓発キャンペーンが行われ、糖尿病の予防や治療継続の重要性について知る重要な機会となっています。

     

    2019年時点で世界の糖尿病人口は4億6300万人に上り、2045年には約7億人に達すると言われています。我が国でも、「糖尿病が強く疑われる人」は「その可能性を否定できない人」と合わせ、総人口の15%を超える約2000万人も居ると推定されています。

     

    糖尿病の重症化予防のためには早期発見・早期治療が重要ですが、医療機関や健診で糖尿病と言われたことのある人の中で「治療を受けていない」人の割合は、特に男性の40〜49歳の働き盛りの世代で最も高く、約5割が未受診または治療中断という状況です。糖尿病の多くは痛みなどの自覚症状を伴わないため、指摘されても忙しさにかまけていつまでも受診しないで放置してしまうケースが多いと考えられます。気がついた時には手遅れにならぬよう早めの受診、定期的な通院が望まれます。

     

     

    2021.11.22

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    糖尿病治療は外来?それとも入院が必要? 〜基本は外来コントロール〜(シリーズ糖尿病54)2021年9月24日(金)行徳新聞

    入院すれば、どんなに悪い糖尿病でもとりあえず良くすることが出来ます。普段の生活とは異なる特殊な環境を設定できるからです。食事療法を厳格に設定できますし、間食も出来ません。一定の条件下ですが、運動することも可能です。一日数回定期的な血糖チェックをされ、主治医は日々のデータを見ながら治療内容を細かく調整できるので、より早くより正確に血糖コントロールを改善することが出来ます。

     

    しかし、退院すれば日常の生活に戻るので食事も運動も全て自分で管理していかなければなりません。退院後しばらくは出来ても、時間が経つにつれてだんだん疎かになり、いつしか元に戻ってしまうかもしれません。結局、このように再び悪化して入退院を繰り返すことは少なくありません。一方、一度の入院でコントロールするきっかけをつかみ、以後自分でうまくコントロールできる方もおられます。

     

    糖尿病治療の理想は、日常生活の中で紆余曲折を繰り返しつつも良いコントロールを継続することです。それにより生活、人生に影響を与える血管合併症の発症、進展を防ぐことができます。日常生活を変えない外来通院で良好なコントロールを維持できることが一番の理想です。

     

     

    2021.11.22

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    良い肥満?悪い肥満?(シリーズ糖尿病53)2021年7月23日(金)行徳新聞

    一口に肥満と言っても良い肥満と悪い肥満があるのをご存知でしょうか。中年期以降代謝が低下してお腹が出やすくなると思いますが、同じようにお腹周りの肥満があっても内臓脂肪が増えているか皮下脂肪が増えているかでリスクは大きく異なります。お腹の脂肪が指でつまみやすいなら皮下脂肪がメインかもしれませんが、つまみにくいなら内臓脂肪が増えている可能性があります。

     

    内臓脂肪が多いほうが糖尿病、高血圧、脂質異常症などの代謝異常を併発しやすくなり、将来的に動脈硬化疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)を発症しやすくなります。このような病態をまとめて、かつては内臓脂肪症候群、死の四重奏などとも呼ばれましたが、今ではメタボリック・シンドロームとしてほぼ統一されています。

     

    内臓脂肪は皮下脂肪に比べて簡単につきやすい一方でとれやすい。脂肪を余分なエネルギーの蓄積と考えると内臓脂肪は普通預金で、皮下脂肪は定期預金などと例えられます。減らすためにはダイエットや運動などの生活習慣の改善が必要です。やはりカロリー(脂肪摂取)を減らし食物繊維を増やすこと、玄米や雑穀米、大豆、魚、海藻、きのこ類などを食べると良いとされます。運動では今より3000歩多く歩いてみる、たとえ細切れ運動でも効果は期待できます。

     

    2021.11.22

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    中性脂肪が高いとは?(シリーズ糖尿病52)2021年5月28日(金)行徳新聞

    中性脂肪が高いとはどういうことなのでしょうか。血液中の「中性脂肪」値には脂の多いものを食べることで入ってくるもの(外来性)と肝臓から合成されるもの(内因性)があります。脂の多い食品だけでなく、炭水化物(糖質)や果物、アルコールのとり過ぎも肝臓での中性脂肪の合成を増やし中性脂肪を上げます。また運動不足、肥満はインスリンの働きを悪くすることで中性脂肪を分解する酵素(リポ蛋白リパーゼ、LPL)の働きを低下させます。糖尿病の方はインスリンの働きが悪いことが多く中性脂肪も高くなりやすいのです。

     

    中性脂肪はリポタンパク質という形で体を巡って臓器に取り込まれエネルギー源として使われ貯蔵されます。中性脂肪が高く過剰に溜まれば肥満になる、肝臓にたまれば脂肪肝に、また中性脂肪が高いと超悪玉コレステロール(small dense LDL)が高く善玉コレステロール(HDL)が低くなりやすいので動脈硬化が進みやすくなります。また中性脂肪1000mg/dL以上は急性膵炎のリスクが高まるので注意が必要です。

     

    治療はまず食事で摂りすぎを控え、逆に良い脂を含む魚介類は多く摂るようにする。また運動療法も併用し体脂肪を適正にすることで中性脂肪の合成が減り分解が増えるので値は下がります。

     

     

    2021.11.22

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    ストレスと糖尿病 〜ストレスで血糖は上がるのか?〜(シリーズ糖尿病51)2021年3月26日(金)行徳新聞

    2型糖尿病はいわゆる生活習慣病ですから、治療には内服、注射といった薬物療法に加えて食事療法、運動療法、禁煙、節酒といったセルフケア行動が必須になります。患者さんは治療を医療者まかせには出来ず、自分の生活を律し続けていかなければならないというストレスがあります。さらに合併症がある場合、その症状によるストレスがありますし、また仕事、家庭での社会的ストレスが血糖コントロールを悪化させる場合もありましょう。

    ストレスが長く続けば、うつ病(うつ状態)にもなりやすい。ストレス、うつが続くことでカテコラミン、糖質コルチコイドという“ストレスホルモン”の分泌が亢進し、それらがインスリンの働きを悪くすることで血糖が上がり、一方で内臓脂肪蓄積、遊離脂肪酸の増加をおこします。また、ストレスに対処する行動(コーピング)として過食や多量飲酒、喫煙が増えれば、食事・運動療法を乱しさらに悪化させます。

    ストレスに対処するためには、バランスの良いライフスタイルとリラクゼーション法を身につけることが肝要です。食事、飲酒は手っ取り早いストレス解消法ですが過量にならぬよう注意すべきです。適度な運動はストレス解消になるとともに減量、血糖低下にも大変有効です。寝不足もストレスとなりますが、20分程度の仮眠を取るだけでも有効とされます。瞑想、禅、ヨガ、気功、太極拳などもリラクゼーション効果があります。

    2021.05.12

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    SDGs(持続可能な開発目標)

    ”誰一人取り残すことのない社会の実現”を目指して、2015年国連はSDGsを採択しました。SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)で、これは国際社会が2030年までに達成することを目指す共通のゴール(目標)です。これにより世界中の人達の貧困を撲滅し、不平等を是正し、気候変動の対策を行うことを目指します。このコロナ禍をきっかけに世界中の人びとが手を合わせ目標を達成してゆきたいものです。

     

    池上彰さんが解説する、誰でも理解できる「SDGs」

    2021.04.04

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    「タツミムック〜医食生活シリーズ 血糖値を下げる食べ方と生活」3月21日全国発売

    当院院長が医学監修を行っております、

    「タツミムック〜医食生活シリーズ 血糖値を下げる食べ方と生活」(辰巳出版)

    が、令和2年3月21日、全国書店で発売されます。

    Amazonサイト(https://www.amazon.co.jp/血糖値を下げる食べ方と生活-タツミムック-渡邉-賢治/dp/4777825256/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=血糖値を下げる食べ方&qid=1598001660&sr=8-1)などでも購入可能です。

    2021.03.12

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    腸内細菌のバランス  〜メタボリックシンドロームを予防、改善?〜(シリーズ「糖尿病50)2021年1月21日(金)行徳新聞

    ヒトの腸内には100兆個以上の細菌が生息しており人間と共生関係にあります。近年これら腸内細菌が人間に色々な働きがけをしていて、様々な病気と関係することが分かって来ました。

     

    腸内細菌の集まり(腸内フローラと言います)には善玉菌、悪玉菌、日和見菌があり、そのバランスが崩れることが様々な病気に関連すると言われます。食習慣がこのバランスに最も影響し、米を中心とした低脂肪、高食物繊維の和食を食べている人は、肉を中心とした高脂肪、高蛋白の洋食ばかり食べている人より便中の善玉菌が多く悪玉菌が少なかったという報告があります。また腸内細菌のバランスが肥満に影響するという報告もありました。

     

    インスリンの働きが悪くなり動脈硬化を引き起こすとされるメタボリックシンドロームも腸内細菌のバランスが影響するという報告もあります。腸内細菌やそれが産生する毒素(エンドトキシン)は通常腸管の壁でブロックされて血液中に入れませんが、腸内細菌のバランス異常によりこのバリアが壊れ、血中に入り全身に運ばれインスリンが働く臓器(肝臓、筋肉、脂肪組織)で慢性炎症を起こすことでインスリンの働きが悪くなり、将来メタボになるという話です。

     

    腸内環境を整えるには日々の食事が最も重要で、食物繊維を多く摂る、プロバイオティクス(ヨーグルトや乳酸菌飲料)やプレバイオティクス(オリゴ糖、一部の食物繊維など)摂取も推奨されます。

     

    2021.02.06

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    新型コロナウイルス禍における糖尿病コントロール  〜血糖コントロールは?〜(シリーズ「糖尿病㊾)2020年11月27日(金)行徳新聞

    新型コロナウイルス感染が再び増えてきています。従来の風邪やインフルエンザと違い、感染して症状が現れ体調が悪くなる1日以上前に感染力が最も高くなることもあって予防しにくいです。

    糖尿病の人は重症化しやすいと言われます。糖尿病でコントロールが悪ければ、感染に対する身体の抵抗力、免疫能が落ちますから、感染症にかかりやすく重症化しやすいことは確かです。ただし、年齢によらず血糖コントロールが良好であれば、新型コロナによる合併症のリスクが高まることはないとの報告もあります。HbA1cが適度に保たれていれば、重症化のリスクは糖尿病でない人と同程度ということです。

    感染予防のためにも普段から良好な血糖コントロールを保っておくことが大事で、そのためには飲み薬やインスリンを中断しないこと、定期的な検査を怠らないこと。また、外出を自粛する結果、活動量の低下のみならず社会的な孤立もすすみやすくなる。そのためには、動かない時間を減らし、自宅でも出来るちょっとした運動を取り入れることも必要。

    しかし、重症化リスクの高い人にとって最も重要なことは何よりも感染しないこと。①マスクを着用し、②こまめに手を洗い、③手で触れる共有部分を消毒し、④換気をし、⑤身体的距離を保ち、⑥人混みを避ける、ことを守りましょう。

    2021.02.05

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