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コレステロール値はどこまで下げるべき? ~悪玉と”超”悪玉~ (シリーズ「糖尿病」㉜)2018年1月26日(金)
糖尿病合併症には心筋梗塞、脳梗塞のような動脈硬化性疾患も多く、生命に関わることも有り予防が重要です。血糖だけでなく血圧、脂質の管理、禁煙が求められます。
では、コレステロール値はどこまで下げるべきでしょうか?動脈硬化予防には、まず悪玉とされるLDLコレステロール(LDL-C)は120mg/dl以下にすべきとされます。しかし、それでも心筋梗塞になる方は少なくなく他のリスクも想定され、これを総コレステロール値から善玉であるHDLコレステロールを引いた値、non-HDLコレステロール(non-HDL-C)で代用することも多いです。LDL-Cよりさらに悪玉とも考えられる事から超悪玉とも呼ばれます。昨年出た予防ガイドラインではnon-HDL-Cを150以下に維持すべきと明記されました。
ではどうすれば下がるか。食事や生活習慣はもちろん大事ですが、コレステロールは食事の影響は1割程度しかなく、残りの9割は肝臓で合成され体質の部分も大きいので、スタチン系という合成を抑える薬が最も有効です。この薬はまた、血管の炎症を抑える作用もあり動脈硬化の発症進展そのものも抑え一石二鳥です。対して中性脂肪は食事による影響が大きく1日の中でも大きく変動しますので、食事管理(による減量)が最も有効です。
2018.07.24
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体重が増えにくくなる薬? 〜SGLT2阻害薬〜 (シリーズ「糖尿病」㉝)2018年3月23日(金)
2型糖尿病は肥満が問題です。内臓脂肪型肥満(メタボ)があると脂質異常症や高血圧も併発しやすく動脈硬化(心筋梗塞、脳梗塞)を起こしやすくなります。又脂肪肝も併発し、中にはNASHのような悪性の脂肪肝もあります。たとえ糖尿病が良くなってもこれらがあれば安心できません。痩せれば全て良くなるので痩せることが重要です。痩せるためには徹底したダイエットが必要ですが、実行、維持が難しいのも事実です。
SGLT2阻害薬は血液中の糖(血糖)を尿中に捨てる薬です。1日約70gの糖を強制的に尿に出すことで血糖を下げ太りにくくします。同時に尿量が増え脱水になりやすいので、のみ始めは水分を(1日500mL以上は)多めに摂る必要があります。平均3kgの体重減少が見込める薬とされますが、うまくいかない場合は余分に食べてしまっている可能性が高いです。体重が減って内臓脂肪が減れば全て良くなる、血圧も安定し、脂質・肝機能の異常も改善しやすくなります。
この薬でうまくいく方は多いのですが、中には体調不良になったり合わない方もいます。脱水以外にも低血糖、尿路(陰部)感染症など注意は必要です。減量がどうしてもうまくゆかない方は一度試してみる価値はあると思います。
2018.07.24
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糖尿病の方は定期的に眼科も受診を! (シリーズ「糖尿病」㉞)2018年5月25日(金)
糖尿病の3大合併症をご存知ですか?「しめじ」と覚えます。し:神経障害、め:眼→網膜症、じ:腎臓障害です。このうち、腎臓障害と神経障害は内科に通院していれば予防のための指導を受けたり早期発見が可能です。しかし、網膜症だけは眼科で専門的な検査を受けなければ見つけることが出来ません。
糖尿病網膜症は自覚症状なく進行するケースが多く、最終的には様々な程度の視力障害を引き起こし、放って置くと失明に至ることもある重大な合併症です。糖尿病発症から網膜症の発症まで数年かかると言われていますが、糖尿病と診断された時点で既に何年も経過していることもあります。網膜症は早期に発見し適切な治療を行うことで視力障害の進行や失明の予防が可能になって来ています。糖尿病と診断されたら出来るだけ早期に眼科を受診することが重要です。自覚症状はあてになりません。見え方に問題がある時はすでに最終段階です。最低でも1年に1回は眼科でチェックを受けられることが必要です。
当院でもお渡ししている「糖尿病連携手帳」には、眼科の先生に記入していただくページもあります。眼科の先生からさらに「糖尿病眼手帳」を渡されることもあります。内科と眼科の連携のもと継続的に治療に取り組まれることが大切です。
2018.07.24
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ホームページをリニューアルしました。
よろしくお願いします。
2018.07.14
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糖尿病治療、いつやるか? ◯◯でしょ! ~レガシー(遺産)効果について~ (シリーズ「糖尿病」②)2013年12月13日(金)
健康診断などで「糖尿病」と診断されてしまった場合、果たしていつから治療を開始すべきでしょうか。もちろん早く開始したほうが良いに決まっていますが自覚症状がないことも多く、忙しかったりしてついつい後回しになりがちですよね。
海外の大規模研究で、最初からしっかり治療した糖尿病患者さん達(A群)と当初はしっかり治療しなかった患者さん達(B群)を比較したところ、数年が経過した時点で、血糖平均が良かったA群の方で合併症が明らかに少なかったのですが、心筋梗塞のような動脈硬化疾患の発症では差がありませんでした。その後A群もB群も治療内容、血糖平均ともに同じような状態になり、更に10年が経過しました。その結果、合併症はやはりA群で少なく、さらに心筋梗塞のような動脈硬化疾患の発症も少なくなっていることが分かりました。
すなわち、糖尿病を最初からしっかり治療したことが正の“遺産(レガシー)”となり、10年後、20年後の合併症までも減らすことが分かったのです。この事は“メタボリック・メモリー”とも言われ、最初にきちんと治療していないと負の遺産にも成りうるわけです。
糖尿病と診断されたら放っておかず、一刻も早く治療を始めることをおすすめいたします。
2018.07.14
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とちゅうでやめちゃだめ。 ???糖尿病治療は中断することなく、しっかりと。 (シリーズ「糖尿病」③)2014年1月24日(金)
糖尿病には主に1型と2型があります。インスリン治療なしでは生存できないほど重症である1型に対して、2型糖尿病(我が国の糖尿病患者の9割以上)は重症度が様々であり、たとえ治療を中断しても症状が変わらないか、症状があっても徐々に慣れてしまい無症状になることが多いです。しかし、症状がなくても治療を止めれば血糖が高めで経過することが多いので、時間経過とともに全身の血管に合併症が進んできます。網膜症、腎症、神経障害といわれる3大合併症をはじめ、心筋梗塞、脳梗塞に代表される動脈硬化がこれにあたります。これら糖尿病合併症は、まずは起こさないこと(予防)、また不幸にも起こってしまったら早めに治療を開始して進行させないこと(早期発見・早期治療)が重要です。
定期的に通院されている方に比べ、通院を止め治療を中断された方は合併症が悪化しやすく、気がついた時には大変進行しており残念ながら手の施しようがない所まで来ていることもあります。失明、壊疽による足の切断にまで至るような悲惨なケースは通院治療を中断された方に多く、定期的に通院されている方には殆ど見られないと言ってもよいでしょう。
まずは、定期的に通院し治療を中断しないことを心がけましょう。
2018.07.14
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生活習慣病の薬はのみ続けても大丈夫? (シリーズ「糖尿病」㉓)2016年7月29日(金)
最近、某週刊誌報道で糖尿病、高血圧、高脂血症等の薬のことが取り上げられ、心配になられた患者様から「続けても大丈夫か?」との質問を受けます。内容を見ると、ある薬の一部の悪い部分だけをことさら強調し報道しており、取材先から「ねつ造」との指摘もあがっているようです。これを読んで薬をやめたいと言う方もおられるようですが、勝手に中止した場合悪化し最悪命を脅かすこともありますので、まずは主治医とよく相談して下さい。
基本的に薬は身体にとって異物であり毒になる可能性がある。効果とリスクを天秤にかけ効果がはるかに上回る場合に処方されます。特に生活習慣病の薬は長期に亘ってのみ続けなければならず副作用がゼロであることが理想ですが、必ずしもそうとは限りません。
そこで基準になるのがエビデンス(EBM)といって、より多くの人に長期間投与して合併症がどうなったか、究極には死亡率を下げることが出来たかどうかという調査結果が重要になります。古い薬ほどエビデンスが揃っていますが、新しい薬ほど調査が現在進行中だったりします。医師は、こういったエビデンスに基いて個々の患者さんに最も適した治療を選ぶことになります。究極、薬は使わないに越したことはないのですが、使った方が将来の合併症や死亡率を下げると判断できる場合のみ処方します。2018.06.24
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わたなべ糖内科クリニック、スタッフのブログです。
これから更新していきます。
2018.06.21
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