糖尿病のこわい合併症について (シリーズ「糖尿病」⑬)2014年11月28日(金)
糖尿病は血糖値が高くなる病気です。自覚症状がないことも多いので、つい放置してしまいがちですが、いずれは様々な合併症が起きてきます
まず有名な3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)があります。糖尿病網膜症は成人後の主要な失明原因となりえます。糖尿病腎症が悪化すれば透析療法が必要となります(導入原因の第一位)。糖尿病神経障害の症状は全身に及び、手足のしびれや痛み、ひどい下痢や便秘などが出現し患者さんを悩ませることになります。
さらに糖尿病のある方は、心筋梗塞や脳梗塞などの「動脈硬化」を何倍も起こしやすいことが分かっています。また高血糖は免疫機能を低下させるので感染症にかかりやすくなります。傷が治りにくい、水虫、虫歯が悪化しやすい、かぜや膀胱炎、肺炎を起こしやすい(時に結核も!)等がみられます。足の血管に動脈硬化があれば歩行困難になったり、些細な傷でも悪化を契機に壊疽(組織が腐ってしますこと)になってしまうこともあります。
普段から血糖を出来る限り正常に近づける治療を続けることで、これら合併症を予防できる、進行を遅らせることが可能です。具体的にはHbA1c(約1ヶ月間の血糖平均を表す指標)を7.0%未満に維持することが必要です。ただし、動脈硬化は糖尿病軽症時でも進行しやすく、血圧、脂質異常症のコントロール、肥満の解消、禁煙を含めた総合的管理が必要になります。