糖尿病性腎症に注意〜尿中アルブミン測定の意義〜(シリーズ「糖尿病」⑲)2015年11月27日(金)
糖尿病性腎症は糖尿病患者さんの3~4割に合併するとされますが、大半は自覚症状がありません。しかし、蛋白尿が出るようになり腎機能の低下が始まると短期間で透析へ至ることから早期発見が重要です。
典型的には、第1期(腎症前期)→2期(早期腎症期)→3期(顕性腎症期)→4期(腎不全期)→5期(透析療法期)と進むことが多いです。
正常である第1期から2期に入ったかどうかを調べる検査が尿中アルブミンの検査です。これが30(mg/g・Cr)を超えると異常と診断され(微量アルブミン尿といいます)腎症2期となります。さらに増加し300(mg/g・Cr)以上で3期へ移行し常時蛋白尿を認める状態となります。eGFR(血液中のCrやシスタチンCから計算)で示される腎機能が30未満に低下すれば4期となります。
尿中アルブミン量が増えると腎不全へ進行しやすくなるだけでなく、心血管疾患や死亡率が増えるとされます。一方、第2期では、血糖、血圧、脂質などをしっかり管理する事でアルブミン尿が減少し正常に戻る事も少なくなく(早期腎症の寛解)、同時に心血管疾患の発症リスクも下がるとされますので、この時期での包括的管理はとても重要になります。
第3期以降では寛解は難しくなり主に進行を止める治療になります。