体重を減らす糖尿病薬 〜でも、減量だけを目的に使うのは如何なものか?〜(シリーズ「糖尿病㊼)2020年7月24日(金)行徳新聞
糖尿病の薬には、飲み薬(内服薬)と注射薬があります。糖尿病の薬ですから血糖値を下げ正常に近づけることが目標ですが、副次的な効果もあり、体重を増やすもの、減らすもの、どちらでもないものがあります。体重が減らなくて困っている方にとっては、血糖を下げると同時に体重も減らすものがあればベストですね。
古くはメトホルミン、炭水化物の消化吸収を遅らせるのむ薬(α−グルコシダーゼ阻害薬)がそれでしたが、体重減少効果はあっても軽度でした。しかし、近年血液中の糖(血糖)を尿中に持続的に捨てる薬(SGLT2阻害薬)が出てきて、これは平均で体重を3kgくらい低下させます。血糖低下だけでなく減量も出来るので2型糖尿病に併発しやすい高血圧、脂質異常症、脂肪肝も改善します。さらに心血管病、腎臓病を併発している方の予後も大幅に改善することが分かって来ました。
注射薬であるGLP-1受容体作動薬(ビクトーザ、トルリシティなど)にも同様の効果が示されましたので、特に心臓病や腎臓病を併発している2型糖尿病の方には、これらSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬を積極的に使うよう欧米では推奨されています。GLP-1受容体作動薬は胃の動きを抑えるので、使い始めに気持ち悪くなることがありますが、うまく使えば食欲を落とし減量効果も期待できるでしょう。