ヒトの腸内には100兆個以上の細菌が生息しており人間と共生関係にあります。近年これら腸内細菌が人間に色々な働きがけをしていて、様々な病気と関係することが分かって来ました。

 

腸内細菌の集まり(腸内フローラと言います)には善玉菌、悪玉菌、日和見菌があり、そのバランスが崩れることが様々な病気に関連すると言われます。食習慣がこのバランスに最も影響し、米を中心とした低脂肪、高食物繊維の和食を食べている人は、肉を中心とした高脂肪、高蛋白の洋食ばかり食べている人より便中の善玉菌が多く悪玉菌が少なかったという報告があります。また腸内細菌のバランスが肥満に影響するという報告もありました。

 

インスリンの働きが悪くなり動脈硬化を引き起こすとされるメタボリックシンドロームも腸内細菌のバランスが影響するという報告もあります。腸内細菌やそれが産生する毒素(エンドトキシン)は通常腸管の壁でブロックされて血液中に入れませんが、腸内細菌のバランス異常によりこのバリアが壊れ、血中に入り全身に運ばれインスリンが働く臓器(肝臓、筋肉、脂肪組織)で慢性炎症を起こすことでインスリンの働きが悪くなり、将来メタボになるという話です。

 

腸内環境を整えるには日々の食事が最も重要で、食物繊維を多く摂る、プロバイオティクス(ヨーグルトや乳酸菌飲料)やプレバイオティクス(オリゴ糖、一部の食物繊維など)摂取も推奨されます。

 

わたなべ糖内科クリニック