「ゆるやかな糖質制限」のすすめ。 (シリーズ「糖尿病」㉕)2016年11月25日(金)
「糖質制限」がブームです。これまでの「カロリー制限」は、糖質(炭水化物)、蛋白質、脂質のバランスを保ちつつ全体のカロリーを抑えるものでしたが、 「糖質制限」は、糖質(炭水化物)のみを制限すればよいので実施が簡単で、糖質以外は比較的自由に食べて良いので空腹の辛さがなく悲壮感もありません。それでいて減量しやすく、糖尿病治療にも有効です。内臓脂肪減量(メタボ改善)には脂質制限よりも糖質制限が有効とされます。(注:蛋白制限が必要な腎臓病の方、脂質制限が必要な高脂血症の方では注意が必要。)
しかし、糖質を(一食20g以下、一日50g以下に)極端に制限すると、ケトン体が増えてきます。近年ケトン体の良い効果も言われていますが、糖尿病ケトアシドーシス等の報告も以前あり現時点で安全と言えません。そこで、我々糖尿病専門医は一食の糖質を20g以下にしない「緩やかな糖質制限」をお勧めしています。
実際のやりかたですが、一日の糖質摂取量を130g以下にする(日本人の一日糖質平均摂取量270gですので半分弱にする)。朝・昼・夕の各食の糖質を20〜40gに抑えれば、芋類以外のおかずは自由に食べられます。間食は糖質10gまでOKで、これで1日の糖質摂取量を70〜130gに抑えます。(当院では管理栄養士による指導も行っています。)