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やせるホルモン「GLP-1」について (シリーズ糖尿病63)2023年3月24日(金)行徳新聞
私たちは食事を摂ると、小腸からGLP−1とGIPという消化管ホルモン(インクレチン)が出ることが知られています。
特にGLP−1は、血糖が上がった時にインスリンを出させるだけでなくグルカゴン(という血糖を上げるホルモン)の分泌も抑える作用があります。また、胃から食べ物が排出される時間を遅くして血糖上昇を緩やかにし、脳に働きかけて食欲を抑える作用もあり、GLP−1分泌が多い人は痩せやすく少ない人は太りやすいとも言われています。
インクレチンは食事をすると小腸から分泌されますが、DPP−4という酵素により非常に速く代謝されてしまい効果が長続きしません。
そこで、この酵素を阻害し効果を長引かせる薬(DPP−4阻害薬)が開発されました。DPP−4阻害薬は現在大変広く使われており血糖コントロールを改善しますが、痩せる効果まではありませんでした。
さらに、この酵素で分解されにくくGLP−1と同じ作用があるGLP−1受容体作動薬(GLP−1アナログ)が開発されました。これは注射薬でしたが、DPP−4阻害薬よりさらに強い血糖改善効果があり、その後週1回だけでよい注射薬も開発されました。
特に、近年出たセマグルチド(オゼンピックR)には明らかな減量効果、食欲抑制効果まで認められるようになりました。この薬(セマグルチド)は同時に内服薬(リベルサスR)も開発されたのですが、毎朝空腹時に30分間、この薬だけをのまないとうまく吸収されないので、使える方は多少限定されてしまいます。
今後は、さらに強い血糖改善と減量効果がある週1回の注射薬(マンジャロR皮下注アテオス)の発売予定もあり、肥満がある2型糖尿病患者さんへのさらなる治療効果が期待されます。
2023.04.22
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あえて糖質だけに着目してみる 〜カーボカウント(基礎、応用)〜(シリーズ糖尿病62)2023年1月27日(金)行徳新聞
食事にはタンパク質、脂質、炭水化物が含まれています。炭水化物(=糖質+食物繊維)は大部分が糖質ですので、ここでは炭水化物=糖質として扱います。エネルギー(カロリー)が同じであっても、糖質、タンパク質、脂質では食後の血糖値の上がり方は大きく違い、糖質が最も早く高く上がります。そこで、食事に含まれる糖質の量(グラム)だけに着目し、血糖コントロールに役立てる方法を「カーボカウント(=糖質カウント)」と言います。
まず食事中に含まれる糖質量をきちんと把握でき適切に摂ることができれば、食後の血糖値がより安定しますし、薬との関係で低血糖を起こすことも減らせます。また外食や中食(なかしょく=出来合いの物を買って来て家で食べること)の際にも役立ちます(基礎カーボカウント)。
さらに、1型糖尿病や強化インスリン療法を行なっている患者さんでは、食品中の糖質量と速効型インスリン投与量をマッチさせる方法を学び、糖質量に応じてインスリン量を調整できるようにトレーニングします(応用カーボカウント)。これにより食事の自由度、満足度を高めることが出来、血糖コントロールをよりスムーズにします。
まず前提として、「糖尿病の食品交換表」に基づいた栄養指導を受けることにより、食事の中に含まれるエネルギー量と栄養バランスをきちんと理解することが必要になります。簡単ではないかもしれませんが、やる価値はあると思います。
2023.04.22
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