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1型糖尿病とは? 〜2型糖尿病との違いは?〜(シリーズ「糖尿病㊽)2020年9月25日(金)行徳新聞
糖尿病には大きく分けて1型と2型があります。(その他の型もありますが少数です。)1型糖尿病では身体からのインスリン分泌がほぼゼロとなり(インスリンの絶対的欠乏)、生きてゆくためにはインスリン注射が不可欠な状態(インスリン依存)になっています。インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が何らかの原因によって破壊されインスリンが出なくなり発症します。この原因は、自己免疫(自分の身体に対するアレルギーの一種)であることが多いのですが原因がわからないもの(特発性)もあります。
1型糖尿病は、膵臓のインスリンを出す細胞だけが無くなってしまうことで起こる病気ですので、2型糖尿病のような生活習慣病とは異なり、肥満とは関係ありません。また2型糖尿病のような遺伝傾向も多くありません。
1型糖尿病の方は我が国の糖尿病患者の5%以内ですので、それ以外の大半の方は2型糖尿病になります。2型は遺伝傾向が強く、肥満や生活習慣がその発症や悪化に強く関係します。2型糖尿病ではインスリン分泌の状態は様々であり、ほとんど低下していない方から、種々の段階に低下している方、中にはインスリン依存に近い状態の方までおられます。そして、その程度に応じて食事療法だけ、内服薬、インスリン治療と治療法も変わってくるのです。
2020.10.01
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糖尿病と感染症 〜積極的な手洗いで接触感染の防止!〜(シリーズ「糖尿病㊺)2020年3月19日(金)行徳新聞
糖尿病の方で血糖コントロールが悪いと、細菌、ウイルス、真菌(カビ)に対する抵抗力が弱くなり、インフルエンザ、結核など感染症全般にかかりやすくなります。血糖値が高いと、白血球による殺菌能が低下したり、免疫に関わる細胞の働きが低下し、病原菌と十分に戦えなくなるからです。
この対策としては、良好な血糖コントロールを保つことが必要になります。また体の抵抗力をつけておくことも大切で、そのためには、血糖コントロールに加え、適度な運動、バランスのとれた食事、良質の睡眠等が大事になります。
今、懸念となっている新型コロナウイルスの感染経路としては、(咳から直接うつる)飛沫感染、接触感染、エアロゾル感染(空気感染?、定期的な換気が有効)などが言われていますが、一番重要なのが「接触感染」です。不特定多数の人が触った場所(ドアノブ、手すり、電気などのスイッチ、電車の吊り皮など)を無意識に触ってしまった指で、うっかり自分の顔を触ってしまうことで感染します。眼、鼻、口の粘膜から感染するようです。
だから、定期的に手洗いすることが大事なのです。何か触ったらすぐに手洗い、外でどこか触ったらすぐに手洗いを。たとえアルコール消毒が無くても、石鹸で手洗いです!
2020.09.15
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新型コロナに負けるな!(シリーズ「糖尿病㊻)2020年5月22日(金)行徳新聞
新型コロナウイルス感染を恐れる日々ですね。4月7日に緊急事態宣言が発令されて一ヶ月以上経ちますが、さすがに新規感染者数は減って来ました。そりゃそうです。ここまで皆頑張っているのに減らなければ嘘です。ただ、解除されて一気に緩めば第二波が来かねません。まだまだ終息は先のようです。この環境とうまく付き合えるよう今後は生活を変えないといけません。
外出時はマスクをして自分の手(指)で顔を触らないようにしましょう。指先にウイルスがついても顔を触らなければ大丈夫。帰宅したらまずは石鹸で手洗い。石鹸に含まれる界面活性剤は高濃度(50%以上)アルコールとともに新型コロナウイルス抑制にとても有効であることが北里研究所の研究で示されました(今回は花王製品のみ)。両手指を中心に両手全体を30秒しっかり洗えば、家の中のものを自由に触っても大丈夫。
仕事もテレワークとなりジムもお休み、運動不足で体重が増えてしまっている方も多いと思います。家での運動、踏み台昇降はいかがでしょう。意外にきつく息も上がりますので、まずは楽なところから。いきなり無理は禁物です。
やはりウォーキングができればベスト。マスクをして人混みを避ければ外出しても良いと思います。その場合ソーシャル・ディスタンスに注意してお互いの距離が2m以内に近づかないようにしましょう。
2020.09.15
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体重を減らす糖尿病薬 〜でも、減量だけを目的に使うのは如何なものか?〜(シリーズ「糖尿病㊼)2020年7月24日(金)行徳新聞
糖尿病の薬には、飲み薬(内服薬)と注射薬があります。糖尿病の薬ですから血糖値を下げ正常に近づけることが目標ですが、副次的な効果もあり、体重を増やすもの、減らすもの、どちらでもないものがあります。体重が減らなくて困っている方にとっては、血糖を下げると同時に体重も減らすものがあればベストですね。
古くはメトホルミン、炭水化物の消化吸収を遅らせるのむ薬(α−グルコシダーゼ阻害薬)がそれでしたが、体重減少効果はあっても軽度でした。しかし、近年血液中の糖(血糖)を尿中に持続的に捨てる薬(SGLT2阻害薬)が出てきて、これは平均で体重を3kgくらい低下させます。血糖低下だけでなく減量も出来るので2型糖尿病に併発しやすい高血圧、脂質異常症、脂肪肝も改善します。さらに心血管病、腎臓病を併発している方の予後も大幅に改善することが分かって来ました。
注射薬であるGLP-1受容体作動薬(ビクトーザ、トルリシティなど)にも同様の効果が示されましたので、特に心臓病や腎臓病を併発している2型糖尿病の方には、これらSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬を積極的に使うよう欧米では推奨されています。GLP-1受容体作動薬は胃の動きを抑えるので、使い始めに気持ち悪くなることがありますが、うまく使えば食欲を落とし減量効果も期待できるでしょう。
2020.09.15
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これから頑張ればよいのです! ~糖尿病コントロールの季節変動〜(シリーズ「糖尿病」㊹)2020年1月24日(金)行徳新聞
今月はHbA1cが上がってしまった方も多いのではないでしょうか。まあ、仕方ありません。そういう時期です。1月は暦の上でも小寒、大寒があり、これからまだまだ寒くなります。寒ければ汗をかきにくく、それだけで代謝は落ちます。その結果、インスリンの効きが悪くなり血糖が下がりにくくなる。
一方、寒いと体重が増えやすくなる。体重が増えればそれだけで血圧が上がる、血糖も上がる。内臓脂肪の蓄積も増えるのでメタボとなり、肝臓の細胞の中に脂肪が溜まれば、いわゆる脂肪肝(脂肪性肝炎)にもなります。脂肪肝といっても馬鹿に出来ません。中にはNASH(ナッシュ)という悪性の脂肪肝があり、その場合肝硬変へ移行するからです。
今月の悪化の原因は、年末年始、お正月の後だったということもありましょう。この時期はイベントも多く、寒さと相まって暴飲暴食、運動不足に陥りやすいからです。生活習慣病の治療は生涯続くことも多い。先は長いのですから、一喜一憂せずゆったり構えましょう。これから良くすれば良いのです。ちなみに、この時期悪化する方は、暖かくなると良くなる傾向があります。
上記は、大分県日田市のグループからの報告(Diabetol Int 2013; 4: 173-178)です。
夏に比べて冬のHbA1cの平均値が高くなっていることがわかります。
2020.02.01
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