糖尿病があるおかげで、一病息災でいられます (シリーズ「糖尿病」⑪)2014年9月26日(金)
糖尿病治療の目標とは、血糖を良好にコントロールすることで、様々な糖尿病合併症を発症させない、進行させないようにすること。その結果、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)と寿命を確保することにあります。そのためには血糖だけでなく、血圧や脂質(コレステロール)、体重など総合的に管理する必要があります。
他の病気と違い、医者まかせではいけません。自分自身が主治医という自覚を持ち、病気に対する理解を深め自ら管理することが求められます。われわれ「糖尿病専門医」は、そのための助言をしたり良いと思われる薬を提案したりと最大限の協力を惜しみませんが、治療の主体はあくまでも患者さん自身になります。ここが他の病気との違いと言えましょう。
初めて糖尿病と言われた時、どうしてこんな病気にかかってしまったのかと気落ちしたり、不安になることもあるかと思います。しかし考えようによっては、糖尿病ほど「一病息災」という言葉がぴったり当てはまる病気もないと言えます。
「一病息災」とは、一つの病気があることにより何も病気がない人より食事や運動に注意して普段から健康に気をつける結果、最終的にはより健康で長生きできるというものです。糖尿病があることにより、定期的に通院され主体的に管理を続けることで他の成人病なども防止され、普通の方よりもかえって健康長寿を全うされる場合も少なからずあります。糖尿病を「一病息災」とすべく考え方を改めてみてはいかがでしょうか。