血圧の薬を開始したら一生やめられないか? 〜血圧の変動しやすさにも注意〜(シリーズ糖尿病69)2024年3月22日(金)行徳新聞
日本高血圧学会によると血圧の正常値は120/80 mmHg未満とされ、140/90 mmHg(家庭血圧では135/85mmHg)以上が高血圧と定義されます。高血圧は通常無症状ですが、きちんと治療しないと合併症により健康で生きられる時間が短くなる可能性があり、サイレントキラーと言われます。高血圧の9割近くは原因を一つに特定できない本態性高血圧で、複数の遺伝因子と環境因子(ストレス、肥満、喫煙、飲酒、運動不足、塩分の摂りすぎ、加齢など)が関与して発症します。
治療の基本は生活習慣の改善です。食事や運動習慣、喫煙、飲酒など、これまでの生活を見直し「血圧を上げない生活」に切り替えます。アルコールは一時的に血圧を下げるのですが、血管を広げるNO(一酸化窒素)産生は減ってしまうので血圧を上げます。
降圧剤を開始したら止められなくなる事はありませんが、薬を止めるには、それに代わる努力が必要です。減塩や節酒、禁煙、運動習慣など降圧対策をしなければ状況は改善しません。実は、血圧を下げる一番楽な方法が薬であるとも言えます。
家での血圧測定は起床後1時間以内(朝食前、排尿後)、就寝前(排尿後)の1日2回がお勧めです。カフを巻く高さは心臓と同じにすること。血圧には日内変動があり、「行動」や「感情」でも容易に上下するので、血圧の変動に一喜一憂しないことも大切です。