糖尿病の食事療法では、まず総カロリーを減らすことを求められます。太りすぎている方の場合は痩せるだけで糖尿病が良くなる事が少なくないし、さらに血圧も下がり脂質代謝異常も改善しやすくなります。一方、痩せている方ではインスリン分泌が少ないことが多く、それ以上に痩せるメリットは無いとも言えますが、身体に入れるカロリーを抑えることで少なめのインスリン分泌でも追いつくようになり血糖値が改善します。

食後2、3時間以内に血糖が上がるのは炭水化物(糖質)だけですので、これだけ摂らなければ良いのだ、という情報が溢れています。確かに食後血糖は上がらなくなるので、見かけ上の糖尿病は改善します。しかし糖質を減らせば、その分脂質、タンパク質摂取が相対的に増えてきます。その結果、脂質代謝異常をきたしやすく、動脈硬化が心配になります。蛋白質の摂取過剰が腎臓に負担をかけてしまう場合もあります。ですので、糖質だけ摂らなければ後は何を食べても構わない、というような極端なやり方には大きなリスクが伴うことを自覚すべきです。

糖質を摂りすぎている人の糖質制限、痩せるための糖質制限は確かに有効でしょう。「極端な糖質制限」は避け、状況を見極めた上での「緩やかな糖質制限」なら比較的安全に良い結果を得られるのではないでしょうか。(つづく)

わたなべ糖内科クリニック